『ミリキタニの猫』不思議な言葉です。まるで呪文のよう。
ギリシャ語か何かのような響きですが、漢字で書くと「三力谷」。日本人の苗字なんだそうです。
これは1人の日系二世「ミリキタニ」氏を追ったドキュメンタリー映画です。
氏はアメリカで生まれた日系二世。
しかし、太平洋戦争勃発後、敵国日本人であるという理由でカリフォルニアの日系人強制収容所に入れられてしまいます。
これに反発し、アメリカ市民権を捨ててしまうミリキタニ氏。
現在ホームレスの画家として、NYで生活。病院はどうするのか。予告編を見ると
「(社会保険のためのSocial Security Numberなど)いらん!」。
どんな生活なのでしょう。気になります。
私は数年アメリカに住みましたが、しょせんは一時滞在者です。あの国で泣いても笑っても、自分には「日本」という帰る場所があります。
日系一世はまだ、日本人という強い意識があり、移民として異国で根を張っていかれたことでしょう。
しかし、二世はもともとアメリカ生まれのアメリカ市民です。その方々にとって、あの当時から現代まで、2つの国はどんな存在だったのか。
どなたかのブログで知ったこと。映画の中でミリキタニ氏が演歌をうたう場面があるのですが、その節回しが日本的情緒や湿度など全くない、ドライなもので、しかもアメリカ人が「アジア」と聞いて想像するような、いわゆる中国趣味な節がついていたそう。
このエピを話すと、友人が教えてくれました。彼女の知人である日本人女性はアメリカで家庭を持ち、20数年あちらに住んでいます。けれど、年を経るごとに「自分は日本人」という意識が強くなっていく。そんな彼女が「日本らしい」と思って大事にコレクションしている食器は、とても現代の日本人が使うような絵柄ではなく、外国人向けみやげにあるような、オリエンタリズムを強調したデザインなのだそうです。
異国にいると、自分の中の「国」を意識することは、よくあります。
では、一時滞在者ではなく「市民」である彼らが思う自分の「国」とは、どこなんだろう。
ミリキタニ氏の中の「日本」は幻の国ではないのだろうか。
映画を見るまで、私には分かりません。
クロスカルチャーという視点から、とても惹かれる映画です(猫好きという点からも)。
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